植物を育てるには、窒素・リン酸・カリの3要素が必要です。
特に窒素成分については、植物の成長や体力維持に重要な働きをします。
窒素肥料を多く与えた野菜は、葉の色が青々とした濃い緑色になります。
ただし植物が窒素成分を吸収する場合、畑に撒いた肥料(有機態窒素)から直接吸収することは出来ません。有機態窒素を土壌の中にいる各種微生物が分解することにより、硝酸態窒素として吸収します。
植物は天候不順にあったり、生理障害を起こすと硝酸態窒素を過剰に蓄積してしまいます。

ではどうして硝酸態窒素が怖いのでしょう？

それは硝酸自体は無害なのですが、硝酸態窒素が動物体内に取り込まれると還元作用により動物にとって有害な亜硝酸態窒素へと変化するためです。
亜硝酸態窒素は血液中のヘモグロビンと結合し（メトヘモグロビンの生成）、正常な酸素運搬機能を阻害するメトヘモグロビン血症などの酸素欠乏症を引き起こす可能性がある他、体内のアミノ酸と結合して発ガン性物質のニトロソアミンを生成するなどの問題が指摘されています。

植物にとって硝酸態窒素は必要不可欠な要素です。
生産者が作物を栽培する上で適正な施肥設計を行うことが大事で、植物が元気になるからといって過剰な肥料の施肥は控えたいところです。

また、現在販売されている野菜を食べたからといって人体に障害を起こすわけではありませんが、より良い食べ物を選択するという点においては、野菜に残留する硝酸態窒素は安全な食べ物の目安といえるかもしれません。